フリーランスのWebエンジニアになって一年がたったので振り返る
フリーランスになって一年がたったので振り返ってみる。
(自分の成長を振り返るためにも、定期的にこういうの書いていく)
前回:フリーランスのエンジニアになって3ヶ月がたったので振り返る
どう仕事を受注したか
結局一年間で4社と契約した。内訳はというと、ざっくりと
- 週3-4コミットの会社1社(一年契約)
- 週1,2コミットの会社4社(数ヶ月〜半年契約)
という感じだ。全てリファラルで受けた。先方都合で契約を切られるようなことはなく、どこの会社様も満足していただけたのではと思う(多分)。
仕事を受けるにあたり、エージェントさんとやり取りをしたり、メールやWantedlyからきたスカウトを元に話を進めたりもしたが、結局魅かれる会社は全て知り合いづてのものだった。
報酬や仕事内容はもちろん大切なのだが、やっぱり一緒に働く仲間は大切で、こちらとしても面談一発で相手の会社さんのことを見抜くのはなかなか難しい。そのため、少なくとも知ってる相手がいる職場に入ることや、ゆるく副業くらいから入れてもらえる知り合いの会社は契約しやすいのはやはりある。例えば、面談ではチームの人と盛り上がったものの、いざ入ってみるとslack上で会話がほとんどないような交流が薄いチームだったりすると、ちょっと辛い。
報酬に関しても、正直結構高めの報酬を提示しているので、相手の立場にたって見ず知らずのエンジニアにこれだけの額を払う意思決定はなかなか難しいだろうなと自分でも思っている。もちろん、こちらからのPRは頑張るし、相場的に妥当な金額を提示しているつもりではある。
とはいえ、値段に見合う働きかどうかを明確に決めることなんてできないと思っているので、何が妥当かは難しい話だが…。
仕事を受注するまではいかなかったものの、お世話になったというか好きなサービスはFindy Freelanceさんとyoutrustさんで、どちらも良いサービスなので使って欲しい。
Findyさんはエンジニア目線でも採用者目線でも、公正に丁寧にやりとりしていただいてる感じがあってとても好感が持てた(逆に、一人一人のケアに時間をかけすぎなのではと経営が不安になるレベルであるw)。時給1万円〜の高単価案件を紹介してくれるようなサービスはFindyさん以外見当たらなかったので、報酬的にもオススメである。
人材業界、最近いろいろなサービスがでてきているが、この調子でみんなが幸せになれる良い世界になって欲しいなと思う。
お金の話
詳細に書くと生々しいので書かないが、とりあえず会社員時代よりは遥かに稼いだ。
税金とか年金とか有給とか考慮してどうなの?という疑問についても、やはりそれを考慮しても相場はフリーランスの方が高い印象がある。
また、案件と契約内容を調整することで、稼働時間を柔軟に調整できるので、働きたいときはたくさん働くし、働きたくない時は働かないというスタイルで働けて、個人的には生産性が高かったと思う。
何をやったか
ざっくりとやったプロジェクトを列挙する。
既存アプリへの新規機能開発(Rails)
サーバーサイドの開発自体は爆速でやりつつ、チームメンバーと良い感じにコミュニケーションできた。UI力をもっと高めて、もっともっと意見したかった感じはする。
リファクタリング(Rails)
入社二日目とかにサービスの結構コアなコード130行を10行に書き換えたりした。自分が触った周辺のコードは全てリファクタリングしていく心持ちでいた。既存APIのOpenAPI対応とかもした。
Google予約プロジェクト(Rails)
https://note.mu/hitoshi/n/na46470783898
最初はちょっとしたヘルプみたいな関わり方のはずだったが、結局開発全般を推進した :muscle: 社内の重要なプロジェクトだったので、特に不具合なく良い感じにリリースできてよかった。
新規サービス開発(Rails)
設計とAPI開発した。Swaggerをひたすら書くのが辛かった…。
新規サービス開発(Rails+React)
この案件は週2コミットだったので、比較的プレイヤーに徹していたのだが、後半は色々大変だった…(詳細略)。週1,2でできることは限られるので、案件を受ける前にいろんなことを丁寧に確認すると良い。
新規サービス開発(Rails+Nuxt+GCP)
友人のスタートアップで1人でサービス開発している。開発は爆速で進めつつ、経営戦略レイヤから社長に口出ししていて(というかもはや自分で推進していて)、めちゃくちゃ価値を出している自負がある。
大して技術的に尖ったことを必要としない普通のWebサービスのMVPを公開するくらいなら、2週間あれば開発終わるという経験もつめて、やはりこのフェイズなら経営側にも知見があるフルスタックなエンジニアが1人で開発進めるのが一番早いなと思ったりした。
この辺の経験は別途まとめたい。
開発環境改善+技術顧問業的なもの
技術顧問というか、前職の会社にお願いされてフリーランスとして一瞬出戻って開発環境改善とか現メンバーのお悩み相談とかをした。
環境改善はいくらでもできるし、お悩み相談も一定効果はあるのだが、単価に見合う働きができているのか?と自問自答する毎日だった。一応感謝はしてもらったものの、まだまだここはスキルが足りないと思っている。(プレイヤーとしてよりも単価をあげているので、その分の価値を出そうとすると厳しい。。)
今後について
フリーランスエンジニアとして単価を上げていくのに辺り、やっぱり専門性があったりOSSコミッターだとか知名度がないと駄目なのかとか最初は思ってたが、半年やった体感としては、事業のために必要なことができれば必要とされるし、それは専門性と言うよりコミット力、というか何より信頼が大切文字数
— nil (@KatsumaNarisawa) March 17, 2019
エンジニアとしてのスキルをもっと磨きたいのは山々なのだが、スタートアップ界隈にいると技術よりも経営戦略とかの知識を頑張った方がサービスを伸ばせると思ってしまうことが多く、そっちの力を伸ばしがち
— nil (@KatsumaNarisawa) August 4, 2019
相変わらず自分のキャリアには迷いっぱなしで、このままフルスタックエンジニア(笑)としてやっていけるのだろうかとは思いつつ、やっぱり今のところどの現場でも求められているスキルは、何かの専門性ではなく、何でもハイクオリティにこなせて事業戦略レベルにも口出しできるエンジニアである、という気持ちが強い。(もちろん、自分がそういう現場を選んでいるからだが)
なので、一通りの技術はもちろん今後も磨きつつ、デザインや事業開発、経営戦略あたりの力をもっと身につけて、参画先の力になりたいなと思っている。
…というスキルを、経験を通して身につけていきたいので、このような働き方をするエンジニアを求めている会社さん、お声がけください :pray: :pray: 普通の開発案件も募集中です。(恐らく週3-4程度の稼働)
総評
とりあえず前回に引き続き楽しくやっております。来年法人化するのか迷い中。
2018年に書いたOSSライブラリとかサービスとか
宣伝というか供養
続きを読むスマブラ参戦ジェネレーターを作った
スマブラの参戦コラを作ろうとしたらネット上に落ちてたものが動いていなかったので、自分で作った。
https://smashbros-gen.netlify.com/
コードはこちら。 https://github.com/nullnull/smashbros
続きを読むフリーランスのエンジニアから見たトレタさん
この記事はToreta Advent Calendar 2018の5日目の記事になります。前日はインフラの山田さんのsendfile()の挙動を観察する。でした。
現在、株式会社トレタさんでフリーランスのサーバーサイドエンジニアとして働いています。社員ではないのですがアドベントカレンダーの募集に手を挙げてみました。
トレタさんに興味がある方はぜひご覧ください。トレタさん、良い会社ですよ!
※自分と正社員さんとはそもそも契約の形が違う点、あくまで僕の観測範囲ではこう見えただけで実際に社員の皆さんがどう感じてるかは別という点はご留意ください。
続きを読むフリーランスのエンジニアになって3ヶ月がたったので振り返る
前職を辞めてフリーランスになって3ヶ月がたったので振り返ってみる。
とりあえず楽しい
前職は前職で好きなサービスだったので、辞めるという選択をするにあたっては悩んだものだが、今は非常に楽しく過ごしており、(少し残念ながら)辞めて良かったなと思っている。
決して前の生活が楽しくないわけではなかったが、今はより楽しい。昔から簡単な日記というか日々のログを残しているのだが、明らかに辞めてからの毎日が充実している。
何が楽しいかをもう少し書いてみる。
コードを書くのが楽しい
コードを書いてるのが楽しく、ここ3ヶ月の平日朝夜や休日は基本的にずっとコードを書いたり本を読んだりしている。
ここ最近触れた技術のキーワードを雑に並べると、nuxt, react, atomic design, storybook, web component, web animation, netlify, firebase, gcp, k8s, selenium, scraping, nuxt+rails+CircleCI+Docker+k8sといったモダンな開発, railsのリファクタリング, テスト設計, swagger, 諸々の便利gemの知識, OSSライブラリ開発を3本, モダンなpyhon環境での言語処理, haskell, rubyのしくみ ………などなど。その時々で必要とされるもの、興味がでたものを片っ端から勉強できていてとてもよかった。毎月しっかり積み上がっている感じがあって良い。
これだけ楽しく勉強できてる理由は、半分は時間的精神的余裕ができたから、もう半分は業務で新しい技術が必要とされる場に飛び込んだからである。当初の目論見通り良い環境に飛び込めていると思う。
また、技術の話ではないが、ここ数ヶ月は色んな企業やスタートアップの方からお声がけいただくことが多く、その度にそのドメインの知識をある程度勉強してからお話していたので、様々な事業について浅く広い知識がついた。これもこれで楽しい。
自信がついた
自分のエンジニアとしての力に今までは大して自信がなかったが、複数の会社で働き、どこでも一定満足してもらえることが分かると、単純に自信がついた。
どの現場でも1日目から自走して開発を進められるし、基本的にレビューが不要な良質なコードで、不具合なく、必要があれば技術基盤の改修も進め、サービスのそもそもの在り方を問いつつ、適切に人を巻き込んで仕事を進めるなどといった、自分が雇う側だった時に期待する動きを自分ができている自負はあり、まあ良い感じに稼働できていると思う。
自分が凄いエンジニアだとは全く思わないが、それなりに良いエンジニアだと自惚れられる程度の自信はついた。仕事の評価として、お金という明確な評価をもらえているのも大きいと思う。
また、前職/前々職と、サービスよりのエンジニアとして活動してきた中で、どちらかというと技術側の周囲のエンジニアに対して、引け目や羨みのようなものを感じることが多かったのだが、これもなくなってきた。 今の現場でそういった観点を役立てて動けているからというのもあるし、自分が羨んでいたような技術は1日勉強すれば学べるようなものばかりで、つまり「やるだけ」なものばかりだったというのもある。そこに対してエンジニアとしての能力が劣っているとかそんなものは全くなく、単純に「やっていないだけ」だった。
それはそれとして、知識量は当然大切で、まだまだ勉強しなければならないことばかりだ。 それをやるにあたり、自分にとって一番効率がいいのはそれが必要とされる場にいくことで、フリーランスになってからはそういうことが結構できている感じがあって良い。 むしろお金を貰いながら色んな技術の調査をさせてもらっているようなこともあり、幸せな環境だと思っている。
余談だが、前々職のD社を辞める際、人事との面談で「スタートアップでRailsのコード書いて成長できるの?(笑)」「(スタートアップに転職したら)もうウチへの出戻りは無理だね(笑)」と言われたものだが、まあスタートアップで成長はできたし市場価値も上がったなと思う。
お金があると便利
フリーランスになって収入が増えた。それにより生活が諸々と便利になって、小さいストレスを感じることが減り、生活が楽しくなった。
「お金を稼ぐのは浅ましいことだ」というイメージが世の中の一定層にはあると思っているが、やはり人が幸せに生きるためにお金は重要な要素である。 人が幸せになるにあたり、お金は十分条件ではないが、お金があった方が幸せになりやすいのは言うまでもなく、自分が幸せになるためにもっと真剣にお金を稼ぐことを考えるべきだと思ったりした。
色々と気づきを得た
フリーランスとして色んな人と話をすることで、色々気づきを得れていて楽しい。その中で、採用について書いてみる。
エンジニア採用の難しさ
前職では採用する立場だったが、最近は採用される立場となり、採用する側とされる側を両方経験すると色々と発見がありなかなか勉強になっている。
そんな中、特に思うこととしては、今の世の中でエンジニアを採用するのは本当に難しいということだ。
現在、本当にありがたいことに、様々な企業から正社員のお誘いをいただいているのだが、仮に自分の会社がこの中にあったとして、この十数社の中から、その会社を選ぼうという気持ちにさせるのは、相当な魅力やマッチングがないと無理だと思える。 福利厚生や開発環境がどうこうというのは、もはやどこの会社も必ず充実させている点であり、足切りにかからないための最低限のラインである。 そこから他社より更に抜きん出るための、事業内容なり、年収なり、メンバーなり、雰囲気なり、色々あると思うが、そこを充実させなければならない。 完全に売り手市場となっており、尖った魅力を持てない企業側にとっては、なかなかに辛い時代だなと感じている。 前職でもなかなか採用が進まず悩んだものだったが、むしろ「採用できなくて普通」くらいに思っていい世の中なのではと感じている。
そんな辛い状況を変えていくための方法として、個人的にぼんやりと感じていることは、企業側は雇用体系を柔軟にしていくしかないのでは、ということである。
個人的な印象でしかないが、今の世の中で比較的エンジニア採用に困っていない会社は、観測範囲だとGAFAやメルカリ、PFN、FOLIOなど、そのクラスの技術力/将来性/給与/ネームバリューがある会社で、それ以外で困っていないと聞く会社は、副業やリモートを積極的に取り入れている会社くらいしか思いつかない。観測範囲だと筆頭としてはキャスター、ミラティブ、misocaなどで、他にもイケてる会社は副業やフリーランスOKな会社が多い印象がある。 これだけエンジニアが足りていない状況で、他の会社と技術力や給与で殴りあうのはまず無理で、そういったところを武器にするしかないのでは、と感じている。
またYOUTRUSTの岩崎さんの記事でもあったが、上記のような柔軟な雇用形態のもと、好きなメンバーと好きな時期に好きなように働く、「ゆるいコミュニティで仕事をする」というのが今後の流れになるように思う。 少なくとも今自分はそういう考えでいて、自分が就職するとしたら、先に挙げたようなエンジニアにとってのトップクラスの企業か、ゆるい雇用形態で好きなメンバーと働ける環境だろうと思う。もしくは、ゆるいコミュニティを自分で作る側になるかだ。
やや話が逸れるが、上記以外で採用戦略が上手いなと思っているのは、コーポレートブランディングが上手いheyさんと、色んなことが合理的で社員目線で情報がオープンな雰囲気を感じるSmartHRさん。とにかく、技術力とか給与とか将来性以外のところで武器を持つ必要がある気がする。
おわりに
ということで元気にフリーランスをやっています。
年明けも一旦仕事は埋まっていますが、副業レベルの稼働であれば受けれる可能性があるので、ぜひお声がけください。
株式会社ラブグラフを退職した
株式会社ラブグラフを退職した。
この記事では、入社してから2年間の個人的な振り返りを書き記しておく。 この記事がスタートアップでのエンジニアのキャリアに興味がある人の参考になれば幸いである。また、ラブグラフに興味を持ってもらえれば嬉しい。
DeNAを退職
まずは前職の話から。情報系の大学院を卒業した後、研究を続けるか少し迷いつつも、Web系の自由な雰囲気と優秀な人間に惹かれ、ディー・エヌ・エーに入社した。 入社してからはブラウザのソーシャルゲームの運用エンジニアに配属された。必要に応じて企画や分析をやったりもした。
2年ほど働いた後、エンジニアとしての成長が感じられなくなったため、部署の異動を考え始めた。会社自体は好きだったし良い評価も貰っていたので、転職は考えていなかったが、キャリアについて考えるいい機会と捉え、転職活動の真似事を始めた。その一環で話を聞いた会社の1つがラブグラフで、結局ラブグラフに就職を決めた。
ラブグラフにジョインした理由
ラブグラフに決めた理由は3つで、「スキルアップ」「写真の世界に携われること」そして「ビジョン」だった。
スキルアップについては、1人で一通りのWebサービス開発を行う経験や、開発以外にも手広く担当するだろうスタートアップの環境に興味があった。 写真については、当時はただの趣味だったが日頃から写真の話をしながら仕事できるような環境は魅力的だった。ちなみに、この記事で使っている写真は全て自分の写真である。
最後のビジョンについては、純粋に良いなと思えるサービスだったのでジョインした。
ラブグラフは出張撮影のスタートアップで、「幸せな瞬間を、もっと世界に。」というビジョンのもと、カップルさんやご家族の幸せな瞬間を切り取って写真やイラストにするサービスを提供している。 この会社は本当にこのビジョンを達成するための会社であって、それ以上でもそれ以下でもない会社がこの会社である。
どちらかというと自分は「幸せ」とかいうキラキラしたキーワードからは遠いところの住人なのだが、それでも、代表の駒下が楽しそうな目で幸せな世界について語っていて、そのビジョンに共感した優秀なメンバーや全国のカメラマンが集まっていて、そして色んなお客様がサービスを好きだと言ってくれていて、そんな世界観が良いなと思ってしまったし、これを作る手伝いをするかと思ってしまった。
代表の駒下について一言説明しておくと、本当にアホなくらいひたすら同じ未来について語る人で(というか多分アホである)、しかし魅力的で幸せな世界観を語る人である。
ということで、良いと思ってしまった世界を実現するため、ジョインすることを決めた。フルタイムのメンバーとしては当時の5人目だった。
入社後の感想としては、「スキルアップ」「写真」「ビジョン」の3つは概ね期待通り満たした。1人で開発含め何でもやる力は身についたし、写真の話をするのも楽しいし、今でもやはり自信を持って良いと言えるサービスである。
ちなみに言うと年収は7割弱に下がった。十分な資金のないスタートアップにしては、むしろかなり頑張ってくれた額はもらったので、特に不満はなかった。
1年目:何もないところから、仕組みを作っていく
ジョインして初めに感じたことは、「仕組みがない」だった。
定例は朝会のみ、案件の責任者は曖昧、仕様は存在せず、開発案件は誰かが「欲しい」と言ったものをissueに書きためエンジニアの判断で実装していくだけ。 色んなものが個々人の力量によって進められていた(初期のスタートアップはそんなものだと思うし、それで良いと思う)。
先人達により色んなものが仕組み化されていた前職と比べ、立派な高層ビルの中から何もない平野に移動したような感覚を覚え、スタートアップにきたなと感じた。
そんな中で自分がやったことは、スタートアップのスピード感と現状のメンバーでやれることを考えつつ、組織の拡大にあわせ、少しずつ仕組みを作ってチームとしてサービスを作っていくことだった。
開発メンバーとしてはPMの役割を緩く担い、週2で開発定例を始めて、案件の優先度管理や進捗管理、振り返り、中長期計画の策定などを行なった。
また、途中からマーケティングやCS、カメラマンのマネジメントなどのチームにも顔を出して、プレイヤーとして改善を行いつつ、定例を開き、目標を決め振り返りのフォーマットを定めて、チームがチームとしてサービスを改善していけるような仕組みを考えていった。
…と言えれば格好良かったが、実際のところはなかなか難しかったというのが事実で、初めての分野でプレイヤーとして結果を出すのも難しければ、マネージャーとしても力不足を痛感した。 とはいえとにかく色んなところに顔を出して改善を回し、もちろん開発も進めて、という日々を過ごした。
ちなみに自分自身がカメラマンでもあるので、カメラマンとしてサービスを使い撮影に赴き、納品機能その他の管理画面をドッグフーディングしたり、撮影の間にゲストにヒアリングをして改善ポイントを探ったりもしていた。「エンジニアが一番のユーザであるべき」とは前職で学んだマインドだが、これについてはこれ以上なく体現したと思っている。
2年目:会社経営の難しさ
会社にジョインして1年が経ち、インターン生や業務委託も含めると20人以上の規模になったころ、創業期から携わっていた優秀なエンジニアが一人辞め、エンジニアが1人となった。
穴は大きく、自分は開発に集中してカバーしようと思っていた矢先、その3ヶ月後にビジネス面を支えてくれていたCOOが辞めた。
開発とビジネスの両輪が会社から離れ、危機感を感じ、経営会議に参加させてもらい、会社経営についても考える日々が始まった。
そこで感じたことは、月並みだが、実際にやるのと口を出すだけではこうも違うのかということだった。自分が経営について語るのは烏滸がましいが、この1年で感じたことを簡単にここにまとめてみる。
選択と集中 : やりたいことは現状の経営資源でやれることよりも常に少し多めになりがちだ。どんなに気をつけていても、振り返ってみるとやはりもっとコアな事業に集中すべきだったと思うことが多々あった。経営資源を集中させるための明確な経営戦略の重要さを痛感した。
Get Things Done : やるべきことが決まればあとはやるだけなのだが、やりきるのはなかなか難しい。やろうと言ったことが何の障害もなくできることなんて稀だが、その上でもそれをやりきることができるかは、会社が前に進んでいけるかを決める重要な要素である。"Get Things Done" とは前COOがよく言っていた言葉で、今でも好きな言葉だ。
大切なのは人 : スタートアップの膨大な量のタスクを上手く実行するのは、結局人だ。優秀な人が増えれば全てが進むし、人が足りていない状態であれこれ言って雰囲気が悪くなっても仕方ない。今のメンバーが活躍できないのは本当に最悪だ。事業について考えるのは大切だが、事業を作る人をどう採用/育成するかはもっと重要だと思う。(そして更に言えば、名もないスタートアップにジョインしようと思わせる魅力的なビジョンが最重要だ。)
プロダクトを磨く : なまじ入社当初からサービスの基本部分は完成されていたため、ビジネス側はプロダクトの磨き込みよりも、分かりやすく効果の出るマーケティングに力を入れがちだった。プロダクトの理想像を腰を据えて考えたいと感じていた頃、現CPOの吉村がジョインし、PMとして素晴らしくここをまとめあげてくれた。よく言われることだが、プロダクトが完成されていない状況でマーケティングを頑張っても穴の空いたバケツで水を掬っているようなもので、短期的なKPIに捉われずプロダクト改善の優先度をあげるべきだった。
優れた問いは優れた答えに勝る : これは学んだことではなく、人生で常に大切にしている考えだが、経営の上でもやはり必要な考え方だ。問題をいかにうまく解決するかは大切だが、そもそもどんな問題を解くのかの方が遥かに重要で、会議中によく突っ込みをいれていた。この辺の話は社内のメンバーにもよく伝えていた話で、退職日に類似の話をしてくれる人が多かったので書いてみた。
開発の話
ビジネス側のことをメインに書いてしまったが、もちろん業務のメインはエンジニアとしての仕事で、開発をしていた。特にエンジニアが1人になってからは、全ての開発に関わる課題を自分1人の力で解決しなければならず、なかなか大変だった。ただWebサービスに関わる一通りの要素をそれなりのレベルでできる自負が持てたのはよかったし、また外部の副業エンジニアや技術顧問からも、技術レベル高くやっていると言ってもらえてよかった。
また、経営陣に参加し始めたころから、肩書きとしてはリードエンジニアとなり、開発組織を作るというミッションが明確に与えられた。すなわち、採用とマネジメントにも責任を持つことになった。
採用については難しく、結果としては自分が正社員エンジニアを採用することはできなかった。採用に銀の弾丸はないのだからやるべきことを地道にしっかりとやっていくべきだったというのが大きな反省だが、愚痴をこぼすと、地道な努力もそれはそれでしていたし、技術ドリブンでもない小さなスタートアップに良いエンジニアを呼び込むのはなかなか厳しく、エンジニア採用はやはり難しいとも思う。何人かの優秀な候補者の人に「成澤さんがいるのが魅力的」と言ってもらえたのはやはり嬉しかったし、これからもそう在りたい。(ちなみに現在は自分以外に正社員エンジニアが在籍している)
マネジメントについては、正社員以外だと、時期も期間もバラバラだが副業を計10人、フルタイムの業務委託を計3人、インターン生を計4人採用して開発チームを作っていた。エンジニア1人は諸々辛いので彼らに大分助けられつつ(本当に感謝してます。ありがとう)、とはいえ結局ボトルネックとなるのは1人しかいない正社員で、正社員採用を頑張らないと仕方ないという気持ちだった。インターン生がすくすくと成長してくれたのは個人的には嬉しかったことで、自分も学生時代のインターン先(PFN社)では大変お世話になったので、自社でも同じことができていたら嬉しい。
ラブグラフを退職
ここまで述べておいて何なんだとは思うが、ラブグラフを退職した。
サービスは未だに良いものだと思っているし、もっとサービスを伸ばしたかったし、残していくエンジニアやチームメンバー、そしてカメラマン達には本当に申し訳ない気持ちで一杯だが、ビジョンに幸せを掲げている以上、自身の幸せについても真面目に考えなければいけないと思った。長い間迷っていたが、最近は事業も順調に伸びているのと、色々あって、結局このタイミングで辞めることにした。退職理由はここでは詳しく書かない。
自分が言っても説得力がないかもしれないが、ラブグラフに興味をもってくれた人はぜひ話を聞きにいってもらえると嬉しい。全職種で社員を募集中だ。多分このリンクから応募できる。
ということで退職するが、2年間でお世話になったたくさんの方々、今まで温かい目で見守っていただき本当にありがとうございました。そして、全国のラブグラファー、イラストレーターさん、そして社内のメンバー、特に開発チーム、特にあんみつとゆきな、そして駒下、改めてお疲れさまでした。これからも頑張って!
これからどうするか
次に何をするかというと、しばらくはフリーランスのエンジニアとして、時間とお金に余裕をもってゆっくりと好きな技術を磨く予定である。フリーランスを長く続けるつもりは今のところなく、1年ほどしたらまたどこかに就職すると思う。
おかげさまで年内の予定は既に埋まっているのだが、副業的な参加や、年明けからの参加は可能かもしれないので、よければ声がけいただけると嬉しい。スキルとしてはWebアプリケーション開発全般(特にRubyOnRails/Vue.js/AWS)に対応できる。
また、この記事の通りスタートアップで一通りの役割はこなしたのと、学生時代は言語処理をやっていたので、この辺のスキルとマッチするようなお仕事も募集中である。言語処理については学生時代に第一著者で海外のトップカンファレンスに通した経験がある。この分野では当時国内最年少だった。
興味ある方は下記ポートフォリオページをぜひ。
pdfの履歴書はこちら。
https://katsumanarisawa.me/resume201809.pdf
終わりに
ここまで読んでもらえる人が何人いるのか分からないが、スタートアップのキャリアの参考になっていれば嬉しい。また、ラブグラフに興味を持っていてもらえれば嬉しい。
自分に何かあれば、以下よりお気軽にご連絡ください。恵比寿、中目黒、渋谷あたりであればいつでも行けると思う。
ウィッシュリスト
定番のウィッシュリストの代わりに、ラブグラフをプレゼントとして贈ることができる素敵なギフトサービスがあるので、そのリンクをのせておく。大切な友人へのプレゼントにどうぞ。特に結婚前の友人カップルなどにオススメである。